燃えよエンタテイメント 辛口放談2001年版

2002年2月25日 月曜日 1:35:00更新

2箇月の掲載期間が過ぎた、2001年の「辛口放談」記事の保存版です。

辛口放談2001

「暁のタンガータ」 (11月28日掲載)
 10月31日(水)19:30-。俳優座劇場。出演:あわためぐる、あわたうらら、天野美和子、上原かつひろ、山口智子、花輪洋治、井上恵美子。構成・振付:井上恵美子。4000円
 たまたま都合が付いたので当日出掛けてみたら、当日券の販売は開演直前まで待たされ、残り3枚の内の1枚を購入できた。
 暗闇の中、何やら戦場っぽい雰囲気の中で、女性ダンサー達がうごめきながら固まる。やがてタンゴの音と共に蘇生?
 男女の睦まじさや駆け引きを感じさせるシーンを織り交ぜながら、止まった時の空間を一人の女だけがさまよい、別の女を刺し殺す。やがて再び蘇生。夕焼けの中で終演。
 途中の、赤いスカートを捲り上げて提灯ブルマ風にしての、エシャペ等の脚を駆使した踊りが、全体の中で唐突な印象で、違和感がある。
 上原かつひろの、安定あるダンスがみもの。
 タイトルと出演者の書かれた無料プログラムが有り難い。

東雲舞踏「とのも」 (11月21日掲載)
 10月27日(土)19:30-。アサヒスクエアA(墨田区吾妻橋1-23-1 アサヒスーパードライホール4階)。全席自由。当日3000円。演出・振付・出演:川本夕子、堅田知里、島田明日香。協賛:小学館 苫米地英人。

 それぞれに活躍する3人の舞踏家が、昨年パークタワーネクストダンスフェスティバルに呼ばれたことをきっかけに結成した、らしい。別々の場所で生まれ、それぞれに踊りを学んでいた3人が、舞踏の創始者土方巽の直系、和栗由紀夫率いる「好善社」を経てフリーになった、らしい。

 舞踏鑑賞は初めてと言ってよい。約100の席が満杯だが、ここまで入るとは予想外だった。それは私の認識不足か。
 1.白装束の女性。全身白塗りで、あまり動かず、いかにも舞踏という感じ。舞台後方、垂木のような細い木が縦縞状に吊り下げられた“カーテン”、その奥で二人の女性が逆光の中でうごめく。
 2.茶色系の衣裳の女性。蓑虫のように沢山の布切れを貼りつけたような衣裳だ。これまたあまり動かず。
 3.フロントカットのロングスカート姿の二人が、下駄履きで、パドブレしながら登場。ある時はタップダンスのように。
 4.額縁ショー(?) 大きな額縁の中で、一人がランジェリーっぽい姿でポーズ。壁際の額縁の中では一人が下方にうずくまる。この間をあとの一人が行き来する。セクシーでもあり、何やら物語りの展開を期待させられるが、私としては中途半端に終わってしまう。
 5.三人で登場。

 あと1シーンあったように思うが、思い出せない。
白塗りであっても、元の表情は意外に表われるものである。
 結局、食わず嫌いで抱いていた先入観に通ずる所もあれば、新鮮な印象もある舞台だった。
 一仕事終えた後の身での鑑賞には、辛いものがあった。

「Cold Angel, Sweet Devil」〜人の歴史は誰のもの〜 (11月16日掲載)
 アクターズ・オフィス第9回プロデュース公演。11月1日(木)19:30-。東京芸術劇場小ホール2。前売3000円。
 18名も出演者が居るのに、客が100名足らずとは不吉な予感。
 人質犯の狙撃シーンから始まり、江戸時代の益田四郎時貞を巡るキリシタン農民達、グレース・ケリーとモナコ大公との出会い、セント・ニコラスの物語という三つのシーンが展開される。それらは、シビアな天使とやさしい悪魔によって仕掛けられるのだが……。
 第一部 犯人がいずれは吊られるのがワイヤで見え見え。後ろにもんどりうっても良かったのでは? 狙撃隊員が客席を勢いよく駆けて出たのはちょっと危険を感じた。事前に注意をアナウンスすると成り行きをばらす事になるので悩み所。途中で、見に来たことを一瞬後悔。でも、結果的には幅広い見聞が出来ました。天使と悪魔の歌はきつい。歌唱はともかく曲も詞も完成度低し。って言うか「歌」になっていない感じ。
 第二部 時貞に操られる農民・四郎のカリスマ性に無理がある。殺陣は見応えあり。
 第三部 グレース・ケリーとは大それた事を、と心配したが、中々良い雰囲気が出ていた。安藤恵里子は今後の注目株。
 第四部 中々良くまとまっていた。
 さて、それぞれのエピソードに天使と悪魔が手を出し、程好く登場人物になりながら人間の運命を操る訳だが、その関わり方が中途半端な感じ。三話ではなく一話をじっくり描いた方がまとまり、集中出来たと思う。とは言え、時が経つと、あれはあれで楽しめたという感じ。
 団員による絵画展、人形展が併設。

「パジャマ・ワーカーズON LINE」 (11月7日掲載)
 10月17日(水)19:00-、東京芸術劇場中ホール、劇団スーパー・エキセントリック・シアター
 老舗学習書籍出版社「勉強堂」では、従来型のオフィスワーカー派と、在宅勤務型のパジャマワーカー派が対立。今後の主導権をかけて、バスケットボールの試合をする事になった。その勝敗によって後半のストーリーも変わってしまう。
 ステージ上でバスケットボールという前代未聞の内容。しかも試合は演技ではなく真剣勝負。そのハイテクニックは予想以上だった。昨年同様、三宅裕司と小倉久寛のやり取りは笑わせてくれる。オープニングのダンスも本格的。結局話は、オフィスvsパジャマの対立に留まらず、リストラにまで発展し、後半にミステリーが絡む。今日的題材の為、身につまされた人も多かったのではないだろうか。そういう意味で、ついつい現実に戻ってしまうのが惜しかった。

ooze.ko「わたしを見たら、踊っていた」 (9月29日掲載)
 日時:9月2日(日)16:00-、19:30-。
 会場:セッションハウス地下スタジオ(東京都新宿区・地下鉄東西線神楽坂駅1出口より徒歩1分 03-3266-0461)
 構成・出演:大岩淑子、岡本真理子、康本雅子
 料金:前売2300円、当日2500円。
 主催・問い合せ:セッションハウス企画室

 いびつな四辺形の床(会場の形)の壁沿いに客席の椅子が一重、二重に並べられている。その中央で3人のウォーミングアップがいつの間にか始まる。見せる為に、と言うよりは、いつも通りにと言う感じだ。やがて3人がリズミカルな曲に乗って、主に上下の動きで踊り出す。康本雅子が残って、四つん這いになって猫科の動物のような動きで歩き回る。
 次に二人がスケッチブックを持って登場。一人が踊ると、そのリズムに合せたように、二人が「ooze.ko」という文字を客に見せながら思い思いに書く。
 三人による踊り。
 コンビニの袋を持ち寄りその中の品物の原材料を読み上げる。
 三人で踊る。
 全体を通してストーリーがある訳でも無く、それぞれに明確な役割があるわけでもない。踊ると言うよりは、その時その時の身体の動きを見せる、という感じである。
 康本が、動く筈の関節を最も細かく動かしていたように思う。

BLU-NAZI第6回公演「リュウグウノツカイ」 (9月27日掲載)
 日時:8月31日(金)19:00-。
 会場:スフィアメックス(東京都品川区東品川2-3-16 天王洲アイル)。料金:3000円(日時指定、全席自由)。 作・演出・振付:竹内静香。企画・製作:BU-NAZI

 白いスクリーンに床一面に敷かれた白い布。この上で踊るのか。さぞかし踊りにくかろう。リハーサルは布無しでしたのか、布は真っ白。
 ステージ客席寄り中央に背を向けた女性ダンサーが一人(竹内静香)。やがて腕をくねらせながら徐々にスクリーンに向かって進んで行く。それと同時に床の布がスクリーンの下に吸い込まれるように去って行く。
 暗転。ベッドに一人の女性。ここは海洋研究所。研究員である涼(長谷川惠子)・茶畑(吉田はるき)の二人は浜辺に倒れていた蛍(佐々木朝美)というこの女性を助けたのだった。蛍は自分を人魚だと言う。二人は、初めは信じなかったが、かつて人魚の研究をしていた、今は亡き涼の姉の研究資料を漁り出す。
 無表情でリーダー格の涼と陽気な茶畑のやり取りが、漫才のようで面白くはあるが長過ぎる。また、コップの同時の上げ下ろしも多過ぎた。
 人魚と見間違われるという「ジュゴン」に関する講義(大石かよ)自体は、飽きる事無く聞かせるが、作品全体の中の一シーンとしては、これまた長過ぎやしないか。
 提灯のようなぶかぶか衣裳が今一つ。後ろ向きの上半身ヌードの意味がわかりにくい。アップテンポでリズミカルな曲の踊りは良かったが、スローなバラードの曲による踊りは、もう一工夫欲しい。
 リュウグウノツカイと言えばタツノオトシゴなのに、何故人魚なのか。
 人魚が自分たちの存在を知らせようとするが、何故明かそうとするのか。また、明かそうという割りにはその方法が消極的過ぎな気がする。
 研究対象が淡水の産物である「マリモ」というのはどうでしょうか。
 スクリーンの映像が綺麗。
 実物(らしきもの)が眼前に居るのに、過去の文献を読み漁るのは、方法論として間違っているような気がする。但し、資料を使ってのダンスがミュージカル風で楽しめた。
 いずれにせよ、いない事、存在しない事を照明するというのは難しいものです。

ダンス「DANCE・夢洞楽」 (9月21日掲載)
 8月23日(水)18:30-。北沢タウンホールにて。3000円。制作:西山プロジェクト
 会場に駆けつけたら「第一部が終るまで入場は待ってくれ」と言われる。これは痛い。せめて一つの作品が終るまでにしてもらいたい。と言う事で、15作品中10作品を鑑賞。
 金澤美穂「デタラメな夢は」=三人
 天野美和子「旅」=ソロ
 伊藤孝子「LIBER TANGO(AMOR)」=確かにタンゴである。
 有馬百合子「Missing Link」=11個の約40cm四方の立方体が一列に置かれている。それを徐々に円形に並べ替え、椅子取りゲームのように立方体を動かす。5人のダンサーと立方体がスピーディに動き、動かされ、最後まで引きつけられた。日本的な化粧が印象的。
 中野ちぐさ「LINE-U」=ロールペーパーが次々に転がされ、床に白い帯が何本も描かれる。その上で、絡んで女性が踊る。新鮮な展開だったがラストの、襲われて舞台袖に引き込まれるシーンが唐突な感じだ。
 古市昌子「操られた心」=薄っぺらな人形が5体、椅子に横たわっている。
 荻野洋子・荻野直子「微笑の烏」=前方の、小山のようなビニール袋が動き出す。これはゴミ袋? 烏とゴミの関係か。
 青木理江「SINGLE LIFE」=天使が仲人役。
 上野智子「花・日・和」=しなやかな動き。笠は不要か。
 福沢里恵「いつも同じ朝」=途中の曲に違和感を感じる。

映画「アメリカン・ナイトメア」 (7月29日掲載)
 監督・脚本:アダム・サイモン、2000年、アメリカ・イギリス合作、配給:アルバトロス・フィルム、時間:1時間13分(7月9日鑑賞)
 1970年代のホラー映画は単なる創作ではなく、色んな事件や出来事がヒントになっている。「事実は小説よりも奇なり」と言う訳だ。ベトナム戦争、白人警官の黒人への暴行、政治家の暗殺、性革命など実写フィルムを合わせ、クレイブン、A・ロメロ、フーパー、ランディス、カーペンター、クローネンバーグ監督や、特殊メイクのサヴィーニ達が、それぞれの作品について語るドキュメンタリーである。
 前半、実写フィルムの残酷さに気が重くなりながら、後半、ホラー映画のシーンに懐かしさとまだ見ぬ作品への誘惑を感じる。1時間13分とは、最近の映画にしては短いと思ったが、対象が、心理描写よりも血しぶき系のホラー映画が多いので、この位の長さで良かった。
 小型のプログラムが、紙質も刷り具合も良く、写真展の図録のようで気に入った。

Korean Dance Selection vol.1「いまソウルの風が熱い」 (7月22日掲載)
「母emi」作・振付:朴明淑
 日時:7月4日(水)19:00-
 会場:青山劇場(東京都渋谷区神宮前5-53-1)
 料金:A席5000円、B席4000円(全席指定。前売各500円引き)
 出演:ソウルコンテンポラリーダンスカンパニー
 問合せ:Dance in Deed!(平岡久美) Dancindeed@aol.com TEL&FAX: 03-3227-0279
 現代舞踊を青山劇場でやるというのは、無謀なような気がしましたが(単に珍しい
だけ?)、結果的には違和感はありませんでした。観客は、さすがに韓国の方が多か
ったようでいつもの雰囲気(つまり、現代舞踊の公演では、いかにもお弟子さん、生徒さんという観客が多い)とはちょっと違ったような気がしました(気のせい?)。
 さて、作品は、個々のシーンは楽しめたのですが、それぞれのシーンの関連性を
考えた時に、今一つわかりにくかったです。冒頭の少女と老女は、一人の女性の一生を表しているのか、これから始まる全体のプロローグかと思われましたが、全体を通してストーリがある訳でもなく……。
 例えば、荷物を運ぶ女性は、暴力夫に虐げられる妻か、と思ったり、病院のベッドでたわむれるカップルの反対側のベッドでは争い事が起こり、一方、医師は医師で別行動だったり。
 最後のシーンは回り舞台に竹が鬱蒼と植えられ、幽玄な雰囲気を醸し出していましたが、こりゃ金掛かってそう、などと下世話な考えが起こりました。
 でも、それぞれのダンスそのものはテクニックもあり、見応えがありました。

映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 (7月21日掲載)
 監督・脚本:ラース・フォン・トリアー、2000年、デンマーク、配給:松竹、時間:2時間20分(6月4日鑑賞)
 徐々に失明して行く遺伝性の病気に冒されているセルマ(ビョーク)の楽しみはミュージカル。そして、一人息子に同じ病が発病した時に備えて賃金をこつこつと溜めている。ついには夜勤も申し出るが、彼女の目ではそれは無理だった。やがて、その大切な金が盗まれ、彼女は取り返そうとするが……。
 量的にも手法的にもミュージカルだと思うが、あまりにも暗い。冒頭の「ザ・サウンド・オブ・ミュージック」のシーンからして危なっかしく、プレス工場での夢想シーンは危険過ぎて見ていられない。ミュージカル好きと言うより無謀である。鉄道での夢想シーンは、歌もダンスもそれなりに聞かせ、見せるが、現実が現実だけに心底楽しめない。刑場に向かうところでは、何もここまでミュージカルにしなくても、と思ってしまうし、最後のシーンの必要性も疑問。
 貧困と病気にあえぎながらもミュージカルを愛す、と言うならばもっと楽しい映画も作れたのではないか。そうではなく、彼女からどんどん希望を奪って行く展開は、気分を滅入らせる。
 とは言え、好悪で言えば嫌な作品だが、あっても良いとは思う。

映画「クイーン・コング」 (6月6日掲載)
 監督:フランク・アグラマ、脚本:フランク・アグラマ&ロン・ドブリン、製作総指揮:キース・キャベリ、配給:アルバトロス・フィルム。1976年/イタリア・イギリス合作映画、85分間。
 女性監督ルース(ルーラ・レンスカ)率いる女性だけの撮影隊は、ただ一人の男優レイ(ロビン・アスクイズ)を売り出す為、アフリカ奥地に出掛ける。巨大な雌ゴリラを崇める村で撮影を始めたものの、レイはそのゴリラに見染められ、拉致されてしまう。やっとの事で彼を救い出すが、ルースはゴリラをイギリスに連れ帰って一儲けを企むのだった。
 本来ならディノ・デ・ラウレンテゥスの「キングコング」と同じ時期に公開されるはずだったのが、彼の横槍でお蔵入りになっていた作品。「キングコング」の雌版によるリメイクだが、冒頭から何となくうさん臭い感じが漂う。やがて現われたクイーン・コングは、モロ着ぐるみ。ちゃっちいSFにパクリと駄洒落のオンパレードに、苦笑するしかないでしょう映画である。はっきり言って、日本人にはあまり受けないだろう。「モンティ・パイソン」や「オースティン・パワーズ」の面白さがわかる人には楽しめるかも。そういう意味では、日本人つーのはまだまだグローバルになり切れてないんじゃない?、なんて事を言っちゃたりなんかしちゃったりして。(4月19日鑑賞)

DANCE MUSICAL kiddy「ライブ ユア ドリーム」 (5月8日掲載)
 3月26日(月)-29日(木)、14:00-、18:30-。銀座博品館劇場。前売・当日:3800円。原案演出:西田幸男。脚本作詞:山西基弘。振付:荒井修、阿里、渋谷洋子松本純子、水谷佳世子。出演振付:Mariza。出演:子供達。企画制作:プロモーションジュエル。
 普通なら幾ら私でも見に行かないのだが、振付の一人が、私とパパイヤを引き合せてくれた荒井氏であり、石井竜也コンサートで共演したMarizaが振付・出演だったので興味を引かれた。子供なのであまり期待していなかったのだが、予想以上に良かった。何と言っても子供時代から踊れるというのが羨ましい。私が踊りに目覚めたのは大学時代だったから。
 舞台を目指して踊りの練習に励む子供達。しかし、先生(Mariza)の目は厳しかった。元気の無い子、表情が良くない子、笑顔が出来ていない子などに叱咤激励が飛んだ。やがて彼らは「夢」の世界に訪れ、Marizaに似たダンサーや子供達と一緒に行動し、踊り、ダンスの楽しさに目覚めて行く。
 いかにも、という芝居が子供らしいと言えば子供らしいのだが、ちょっと分かり過ぎる。しかし、歌って踊ってという世界が楽しめたので、結果的には“拾い物”だった。(3月29日鑑賞)

映画「タップ・ドッグス」 (5月6日掲載)
 監督:デイン・ペリー、脚本:スティーブ・ワーランド、製作:ヒラリー・リンステッド、2000年・アメリカ・オーストラリア共同製作、95分。
 オーストラリアのニューカッスルの鉄鋼所で働くショーン(A・ガルシア)は、プロのタップダンサーを目指していた。ある日、彼の通うスタジオでオーディションがあり、それに合格したショーンはシドニーの舞台に立つ事になった。しかし、主役を無視し、オリジナリティを出し過ぎて首になってしまう。故郷に帰ったショーンは独創性のあるタップダンスチームを作るが、恋人や兄弟の人間関係や、不良グループなどの問題が彼を悩ます。
 伝統的なタップダンスではなく、金具の付いたワークブーツで踊るストリート系のタップダンス物語である。舞台は一度見た事があり、踊りの概要は知っていた。「ブーツメン」としての踊りも悪くは無いのだが、踊りというよりはパフォーマンス的要素が強い。また、ドラマ性が薄く、盛り上がりに欠ける。映画「リトルダンサー」と似た物足りなさを感じた。(3月28日鑑賞)

「Luminous」 (5月6日掲載)
 3月20日(火)-25日(日)15:00-(18:00-、19:00-)。会場:bunkamuraシアターコクーン(渋谷区)。構成・振付・美術・照明:勅使川原三郎。出演:勅使川原三郎、宮田佳、佐東利穂子、スチュアート・ジャクソン、エブロイ・ディア、KARASメンバー、他。
 鑑賞から時間が経過してしまったので新鮮な感想ではないが、その後に放送された勅使河原のTV番組なども思い出しつつ、書いてみた。
 ついつい居眠りをしてしまった事は覚えている。隣の女性は、更に寝ていた。つまり、私(達)にとっては少々退屈な作品だった。
 50cm四方位の白布を等間隔に重ねて立て、奥から照明を当て、その間を素早く通り抜けたり、“影絵”をしたりするのは新鮮だった。発光塗料?を使った“人型”も意外性があった。勅使河原を始め、踊りは、テクニカルによく踊れていた。
 しかし、動きそのものは良いのだが、作品としての印象が薄い。下手空中にぶら下がった女性も、役割が今一つ不明だった。(3月23日鑑賞)

H・アール・カオス ダンス公演「神々を創る機械」 (4月9日掲載)
 3月20日(火)16:00-、会場:世田谷パブリックシアター。指定席:5500円。出演:白河直子、内田香、奥山由美子、勝倉寧子、菊池久美子、木戸志乃、泉水利枝、平谷じゅな
 上半身裸の女性ダンサーが上手にはけ、7人の女性がワイヤでバランスを取りながら踊る。以下、先の一人とこの7人で展開さて行く。舞台装置は、古代ローマの水道遺跡を思わせ、柱の部分に女性達が見え隠れする。そしてそれらの装置はダンサー自身によって分割、或いは再構成される。時に緩やかに、時に激しい速さで、時に宙に浮かんで見る者を魅了する。
 いずれのダンサーもスタイルが良く、パンツ姿なのと力強い動きの為、宝塚歌劇団の男役を連想させる。これほど俊敏な動きが連続するダンスは、初めて見た。
 やがてベッドが持ち出され、トランポリンよろしくその上で跳ねる。そして、まるで映画「エクソシスト」で悪魔が取り付いた少女のように激しく動く。
 ダンサー同士の関係が今一つわかりにくいので、最後の神々しさの感動が盛り上がらない。おびただしく降り注ぐ赤い“花びら”も、その多さに驚くが、効果はいかがか。

映画「援助交際撲滅運動」(略称:エンボク) (4月9日掲載)
 監督・脚本:鈴木浩介、原作:山本英夫、漫画:こしばてつや(ヤングマガジンアッパーズ講談社刊)、製作:キングレコード(株)、出演:遠野小春、真壁あやか、関 保奈美、山口祥行、佐藤幹雄、中嶌ジュテーム、森羅万象、佐々木和也、拳武秀旭、諏訪太朗、剣持メイ、赤坂有理子、遠藤憲一
 オープニングはロック音楽に乗って、切り貼り風に出演者が瞬間的に次々に映し出され、サイケデリックな感じである。
 初めの登場人物である、援助交際を求めるサラリーマン(私)の紹介と援交の仕組みが字幕付きで解説されるが、ちょっと早過ぎて読み切れない。
 物語は、おやじ狩りと、女子高生の援助交際を撲滅させるという都合のよい解釈でやり逃げを重ねるテレクラ店員と、彼らに復讐する女子高生達を中心に展開する。
 ラスト近くのおやじの復讐劇が今一つインパクトに欠けるのは、積り積もった恨みの爆発と、その対象者との遭遇のタイミングに差がある為だと思う。
 ラストの皮肉な出会いは、今後の一騒動を暗示させる。
 女子高生のリーダー役の遠野小春が、姐御肌で好演。(3月19日鑑賞。公開予定:2001年秋

「KAPPA-TE〜s」 (3月1日掲載)
 KAPPA-TE KAPPA-TE HAJIME-NO-IPPO KAPPA-TE SOREZORE KAPPA-TEDONNA? SHO-HINSHUu KAPPA-TE!
 2月27日(火)20:10-21:15。会場:Westend Studio(中野区新井5-1-1 スタジオライフ1階 03-3319-2289)。前売1800円、当日2200円。振付:*印。出演:桂由貴子*+白井麻子*、川上弘美・しばたえみ・田嶋麻紀・行方弘美・藤井章予・柳澤祐子、佐藤きりこ*、しばたえみ*、白井麻子*、関根えりか*、村岸もと子*。問合せ:Dance Venus Dancevenus@aol.com
 開場と同時に出演者達がスタジオ内をうろつく。私の隣にも知人の出演者が来て、お互いの近況などを話す。開演前に出演者に会って激励するのはともかく、会場をうろつかれてはけじめがつかない。こういう演出は私の好みではない。観客は、既に作品が始まっているのか、いつ始まるのか気が気でない。
 案の定、はっきりした開幕はわからぬまま、いつの間にか始まっていた。そして作品と作品の間も明確な区切りは無く、次々に連続して展開された。しかも、センターフロアでダンサーが踊る間、他のダンサー達が壁際や階段などに佇んだりして、こちらも作品なのかどうか、気になってしまい、ちらちら見てしまう。
 七つの作品が上演されたが、既に述べたように、それらは明確に独立した形では無く連続していたので、全体が一つの作品のようでもある。
 6人グループの後半のフォーメーションが良かった。
 関根は白いロングドレスで、静かな音楽で優雅に踊り出し、その延長で踊るかと思ったが程好く期待を外した。
 しばたのソロは、斬新な動きで、彼女の新境地を見た思い。そう言えば、ソロはほとんど見た記憶が無い。
 最後の桂・白井組みは、四つん這いでの登場もユニークだが、スピード感と力強さのあるユニゾンで動きの美しさを見せてくれた。

映画「ミート・ザ・ペアレント」 (2月26日掲載)
 監督:ジェイ・ローチ、脚本:ジム・ハーツフェルド、ジョン・ハンブルグ、音楽:ランディ・ニューマン、提供:ドリームワークス映画、ユニバーサル映画、配給:UIP、108分
 シカゴの看護夫グレッグ(ベン・スティラー)は、恋人のパム(テリー・ポロ)にプロポーズしようとするが、そこに彼女の妹の婚約を知らせる電話が入って機会を失する。妹の結婚準備の為に二人はパムの実家を訪れる事になり、グレッグは彼女の父親に直接話す事にする。ところが現われたのは、CIA出身の強面の父親(ロバート・デ・ニーロ)だった。グレッグは気に入られようと務めるが、やる事なす事が裏目に出てしまい、二人の間は徐々に気まずくなって行く。
 グレッグの失態につい笑ってしまうものの、彼が悪いと言うよりも運が悪いという感じなので笑い放しで済ます事は出来ない。いわゆる「花嫁の父」との宿命的対立であるが、その亀裂を埋めるのは娘の愛情なのである。そして、父親の本当の幸せは、娘自身の幸せにあるのだ。よくもここまで悪運が続くものだという不自然さはあるが、ほどよいコミカルさで飽きさせない。(2月22日鑑賞)

江戸川乱歩オマージュ ウズメの「続・人でなしレビユー 黒と影」 (2月26日掲載)
 2月16日(金)19:10-21:15。新宿スペース107(東京都新宿区西新宿1-8-5 03-3342-0107 新宿駅西口より徒歩5分)。チケット:前売り2800円、当日3000円(日時指定、全席自由。ホームページより申し込み可)。出演:鵜飼V彩子、田中H浩子、松崎Lルリコ、中野J珠奈、溝上M多映子、生田IKU奈緒美、久谷Q由実子、木村K美根子、中村Sさつき、井原タケシ、有近真澄。舞台監督:中山正淳。音楽監督:有近真澄。美術監督:ElectraMiho★g。映像:若井浩樹。問合せ:uzume@par.odn.ne.jp http://www2.odn.ne.jp/uzume/
 昨年10月に「エロス、グロテスク、グラマラス」と銘打って、江戸川乱歩の作品をモチーフにした芝居とダンスの再演。出演者も内容もほとんど前回同様だが、着物姿が少なくなっており、構成上も乱歩色は薄まっている。
 まずはアイドル伝道師・有近のボーカル。中野、久谷、生田の3人は彼を師と仰ぎ、アイドルを追求している。そこに色羽Vがアドバイス?役で登場し、アイドル道を解きながら乱歩の世界を展開させて行く。作品は「黒蜥蜴」「人間椅子」「怪人80面相」「芋虫」「鏡地獄」「人でなしの恋」「虫」「押し絵と旅する男」、エンディング「あなたのいない世界で」の8場。V(鵜飼)は前回同様、長い台詞で幕をつなぐ案内役で、全体的に適度なユーモアとお色気も混ぜ、飽きる事無く楽しめたのも、前回同様。プロセニウムに飾られた段ボール製の花飾りが意外に映えていた。

バレエ「白鳥の湖」(全4幕) (2月13日掲載)
 2月8日(木)18:30-21:00 東京文化会館。構成・演出:コンスタンチンM・セルゲイエフ、振付:ナターリヤM・ドゥジンスカヤ、アンア・マリーホームズ、振付指導:橋浦勇、演奏:東京ニューフィルハーモニック管弦楽団、制作・主催:日本バレエ協会
 第一幕 庭園の一角で王子(イーゴリー・ゼレンスキー)の成人を祝う宴。王子の友人や家庭教師、道化達が楽しく踊る中、王妃が登場して王子に弓を授け、明晩の舞踏会で花嫁を選ぶよう指示する。王子は気乗りしないまま、一人森の中へ入って行く。
 道化(小出顕太郎)の踊りに切れとスピード感があり秀逸。弓があまりにも貧弱で、貰って喜ぶ王子の演技が空々しい。
 第二幕 夜、森の中の湖のほとり。悪魔ロートバルト(マシモ・アクリ)の魔法で白鳥にされてしまった女性達が、夜の間だけ人間に戻って行く。白鳥狩りに来た王子はその中のオデット王女(下村由理恵)と恋仲になり、永遠の愛を誓う。
 ロートバルトとオデットのパ・ド・ドゥが珍しい。
 第三幕 城内での祝宴。舞踏会の中、花嫁候補達が踊るが王子は興味を示さない。そこに貴族に扮したロートバルトが娘の黒鳥オディール(下村)をオデットに見せかけて登場。王子はオデットと思い込んで花嫁に迎える誓いをしてしまうが、自分の過ちに気付いて城を飛び出し、湖に向かう。
 ここでも道化の踊りに見とれてしまう。踊る黒鳥と王子の間に、ロートバルトが巧に割り込む。下村はここでも安定した見事な踊りっぷり。王子が狼狽するシーンは、この作品のクライマックスの一つだと思うが、騒然とする城内の雰囲気と共に良く出ていた。
 第四幕 湖のほとり。オデットから成り行きを聞いて悲しむ白鳥達。そこに王子が駆けつけてオデットに詫びるが呪いは解けない。ロートバルトが現われてオデットをさいなむが、二人の愛の力に抵抗できずに滅んで行く。オデットは湖に身を投げ、王子も後を追い、二人はあの世で結ばれる。
 もう一つのクライマックスである、二人とロートバルトとの戦いは、うまく劇的に描かれていた。八羽の黒鳥が一緒に踊るのが珍しい。コールドで激しく上下する白い腕が白魚のようだった。
 と言う訳で、作品としても満足したが、下村の技量を改めて評価できた作品だった。“白鳥”にしては子供の客が目立った。

MAGAN'S STORY/crystal vision(吉沢恵ダンス公演vol.8) (2月13日掲載)
 2月7日(水)19:00-、、東京芸術劇場小ホール1、入場料:前売3000円(当日3500円)。作:吉沢恵。出演:阿部圭子、漆原千晶、斎藤友里、菅井昌子、田内祥子、林洋子、前田曜子、矢野博美、吉沢恵。制作・問合せ:柴原美紀子
 大きな箱の上の椅子に佇む吉沢。やがてフロアに提灯ブルマ風の黒っぽい衣裳の八人のダンサーが現われ、踊ると言うよりも舞踏的な動きが展開される。後半、座頭市の歌やカンツォーネが流れ、吉沢の“一人芝居”風ソロとなる。最後にピンクのワンピースをエプロン風に着けて終演。
 前半の舞踏的表現は、個人的にはあまり好みではなかった。音楽は宇宙的な広がりを感じさせたのだが、踊りは割りと地上的。吉田以外のダンサーの技量にやや不満が残った。カンツォーネは中々ドラマチックであると再認識した。

映画「ホフマン物語」 (2月11日掲載)
 監督・脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレス・バーガー、振付:フレデリック・アシュトン、配給:ケイブルホーグ、2時間4分
 恋人ステラ(モイラ・シアラー)のバレエ公演を見に来たホフマン(ロバート・ラウンズヴィル)は、休憩時間に酒場で学生達に恋愛体験を語り出す。次の幕が開いても話は続き、人形に恋した話、娼婦に恋した話、歌手に恋した話が語られる。ステラが公演を終えて彼に会いに来た時、ホフマンは疲れて寝てしまっていた。
 1951年の作品だが、全く古さを感じない。と言うよりこの種の映画が少ないので経年変化を感じないのだろう。台詞は全て歌で、オペラとバレエと映画が融合した総合芸術である。お薦めの逸品。
 1話目は、バレエ「コッペリア」を思わせる。人形オランピア(シアラー)の踊りは、いかにも人形というぎこちない動きは少なく、息もつかせぬ早い動きが連続して見応え十分。全体的にコミカルな雰囲気である。
 2話目は怪しげな雰囲気が漂い、夢と現実が混沌とした感じ。踊りは少ない。
 3話目も踊りは少ないが、歌は最も聞かせる。特にアントニア(アン・エアーズ)と亡母(ジョーン・アレグザンダー)と医師(ロバート・ヘルプマン)の3人が同時に歌う所は圧巻。(2月6日鑑賞)

映画「リトル・ダンサー」 (2月11日掲載)
  監督:スティーブン・ダルドリー、脚本:リー・ホール、配給:日本ヘラルド映画、1時間51分
 11歳のビリー(ジェイミー・ベル)はボクシングを習っているが、今一つ意欲が湧かない。父親(ゲアリー・ルイス)と、歳の離れた兄(ジェイミー・ドラヴェン)は炭坑夫だが、今はストライキ中。ある時、そのストライキの炊き出しの為に場所を追われたバレエのレッスンが、ボクシング練習場の隣で始まった。何となく気を取られるビリーは、いつの間にかバレエのレッスンに通い出していた。家族には内緒だったが、父親に見つかり「男がバレエ?」と大反対されてしまう。しかし彼は諦めなかった。
 バレエ映画かと思って見たが、家族映画と言えよう。一家を支えて働く父と兄。可愛い息子・ビリーを愛するが故に自分の主義を曲げてしまう父親。息子の為に、亡き妻の形見を質草にする所では胸が熱くなった。
 しかし残念なのは、ビリーがボクシングよりもバレエを選ぶ根拠が薄い事と、バレエに対する情熱の証として父親の前で踊るのが、それまで全く触れられていないタップダンスという唐突さと、バレエレッスンシーンのいい加減さだ。こういうレッスンではいつまで経っても上達しないだろう。
 ほど良いユーモアとペーソスが漂うだけに、その荒さが惜しまれる。でも、見て損はしないでしょう。(2月5日鑑賞)

innerchild vol.4「PANGEA」 (2月4日掲載)
 2月2日(金)19:35-21:40 会場:中野ザ・ポケット。作・演出:小手伸也。舞台監督:筒井昭善・田中里美。出演:小手伸也、菊岡理紗、古澤龍児、土屋雄、新谷真弓、安元有加、牧山祐、寺部智英、前田宏、辻脩人、小村裕次郎、山之内菜穂子、間崎愛美、林聖子、浅川リサ。料金:2500円(当日2800円)
 とある島に、若い男性カウンセラーが訪れ、住人(患者)達と治療の契約を交わそうとするが、はぐらかされてしまう。しかし、住人の一人である山田という男のいかがわしさに業を煮やした人々は、彼を排除したいが為に契約を受け入れ出す。老若男女、様々な人々が、ほとんど埋もれてしまった鳥居の周辺を舞台に物語を展開させる。彼らは別々の人格だが、実は一人の女性から分離しているのだった。カウンセラーはそれらを元の一つの人格に戻す為に来島したのだが、彼もその女性の人格の一つだと言う。
 初めは、登場人物達の人間関係に混乱してしまうが、いわゆる多重人格者の治療過程を描いている事に気付くと徐々に話がわかって来る。他人はもちろん、本人も気付かない様々な要因を解きほぐして行く作業である。徐々に明らかにされて行くのは、主に性的な経験や虐待なので、解明の喜びとともに、実態のおぞましさに直面する事になる。
 少女っぽい新谷の、いろんな人格表現の使い分けがお見事。前田はうさん臭い男を好演。寺部の自閉症?振りも良かった。辻の鳶は、彼らしい個性は出ていたが、この作品には少々違和感があった。全体的には重厚で見応えのある作品だった。
 劇場の座席はしっかりしており、音響や照明も充実していた。

芝居「@Home福福荘」 (1月23日掲載)
 1月14日(日)13:00-14:45、アイピット目白(新宿区下落合)、作:津本泰雅、総合演出:鈴木道弘、企画・制作:SO-TO最高DELUXE(S,S,D)
 個性的な人々が住むアパート・福福荘に、行き倒れていた若い女性が担ぎ込まれた。住人達は歓迎し暖かく迎え入れたので、彼女はそこに住む事にした。徐々に生活に馴染んで行ったが、やがて彼女はアパートを去る。父親との和解を求めて。
 クリスマスに待ちぼうけを食らったくらいで……という違和感から始まり、今時テレビのホームドラマのような付き合いをしているアパートがあるとは思えず、中々、舞台の世界に入れなかった。最後に、実は全ては彼女の亡き母親が幽霊仲間に頼んで仕組んだ事だったとわかるのだが、それにしてもなあ……、部分的には面白かったんだけど……、という感想だった。
 しかし、少し時間を置いて振り返ると、あれはファンタジーだったんだ、と思えて来た。元より作り事ではあり、私としてはそれを承知の上でその世界に入りたくて入れなかった作品だったのだが、少し時間をおく事によって入れたような気がしたのである。
 陰を引きずった暗さと能天気さを兼ね備えた神子(荻野季美子)が熱演。出番は少なかったが、神子を三枚目の演技で元気付ける小豆(岡元あつこ)は関西弁を駆使して好演。幾らなんでもアフリカ人は無いでしょう、というアナン(瀧田剛)は元気をくれた。

フリムクト (1月18日掲載)
 1月11日(木)19:30-、シアタートラム(世田谷区)、出演:イデビアン・クルー、主催:(有)ビューネ
 奥深い舞台の両側は、ダンサーの出入りの為だろう、黒幕で出入り口が三つに仕切られている。その為、最も奥の様子は端っこの席の観客には見えていない。作品は幾つかのパーとに分かれており、まず、14名のダンサーが舞台を左右に横切る。その内何人かが途中で8拍ほどの動きを入れる。このような、あまり踊りらしくないものと、何人かのユニゾン・ダンスが繰り返される。全身タイツの男性が、時々笑いを誘うが、私はそれほど面白くは無かった。
 私が前回に見た作品は、男女とも黒い全身タイツの上に、白い男物のパンツを履き、しかもお尻の部分に名前が書いてあった。そういう衣裳よりも、少しストーリー性を帯びたダンスそのものが楽しめたのだが、今回はそれが低かった。反面、ダンステクニックは全体的に向上している。
 「フリムクト」は「振り向くと」のようだが、私が“振り向いても”何も見えなかった。

レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」(全3幕4場) (1月8日掲載)
 1月6日(土)14:00-16:30、東京国際フォーラムホールA、振付:プティパ、改訂演出:ボヤルチコフ、主催:フジテレビジョン、特別協賛:コーセー、招聘:光藍社
 先日の「眠り」と同じく47列目、席は二つ隣。2度目の為か、舞台が少しは近くに感じるが、音はやはり遠い。1階3000席は8割程度、2階は1000名近いでしょうか。
 粗筋は省略。第2幕のオディール(シェスタコワ。オデットと二役)とジークフリート王子(シャドルーヒン)のパ・ド・ドゥを見ながら改めて思ったのは、この作品って、バレエらしい踊りはほとんどこの二人しか踊っていないという事。白鳥達はクラシック・チュチュで踊るが、他はほとんど民族舞踊風なのだ。それだけに“白鳥の湖=オデット(オディール)+ジークフリート”という公式(イメージ)が出来上がっているような気がする。
 シェスタコワのグラン・フェッテ・アン・トゥールナンは早く、予定されていたのかもしれないが賞賛の拍手が長くて曲が止まってしまった。グラン・ジュッテも空中に浮かんでいるかのようだった。
 私の今まで鑑賞した作品と比較すると、全体的に平板な印象だった。第1幕2場で二人が踊っている所にロットバルトが出て来るが、二人とは関係なく一人でうろついている感じだ。第2幕で王子が自分の過ちに気付いて城内が騒然とする所も、客人達も王子もあっさり出て行ってしまう。第3幕の、二人の愛でロットバルトが滅びる所も、もがき苦しむ印象は薄い。
 プログラムに寄れば、今回の作品は原典に近いらしいが、振付よりも音楽の盛り上がりのほうが勝っていたように思う。
 王子の花嫁候補が6人出て来るが、全員同じ衣裳で同じような踊り。これでは初めから失格とわからせているようなものではないだろうか。我こそは、という時はもっと自分をアピールするだろうから。もっとも、外観ではなく内面で勝負しているとも考えられるが、それには短時間過ぎる。
 席が遠すぎて、オディールの表情がオペラグラスでもわからなかったのが残念。以前見た草刈民代の場合は、男を騙して手玉に取る雰囲気がよく出ていたので、それと比較してみたかったのだ。

レニングラード国立バレエ「眠りの森の美女」(全3幕) (1月5日掲載)
 1月3日(水)14:30-18:00、東京国際フォーラム ホールA、振付:プティパ、改訂演出:ボヤルチコフ、主催:フジテレビジョン、特別協賛:コーセー、招聘:光藍社
 年末に申し込んだらすんなり買えた。人気が無いのか、収容人数5000だからか。で、1階3000席はほぼ満席、2階は500名程度でしょうか。これって人気があるんでしょうねえ。
 私の席は1階だけど47列目という遠さ。簡易保険会館や郵便貯金会館の2倍でっせ! オペラグラスではなく双眼鏡が必要です。これだけ遠いと、レニングラード国立歌劇場管弦楽団の音も遠くに聞こえる。
 どうしても、年末のキーロフに比べてしまうが、衣裳はやはり本場で豪華だが、色彩は落ち着いている。背景画などの舞台美術はキーロフには及ばない。
 肝心の踊りは全体的に良かったが、主役のオーロラ姫(ペレン)、デジレ王子(ミャスニコフ)よりも、青い鳥(ミハリョフ)、フロリナ王女(クチュルク)の方が見応えがあった。ペレンが小柄だったせいかも知れない。何せ遠いですから。
 キーロフでは第3幕がちょっと退屈だったが、今回は1、2幕が遠距離の為か、それほどのドラマチックさが感じられず、その分、第3幕を“ガラ”のような感じで楽しむ事が出来たようだ。とは言え、表情が見えなくては楽しさも半減である。この会場は広過ぎた。
 子供は「橘バレエ学校」「日本ジュニアバレエ」の出演。

XX+I (1月2日掲載)
 12月31日(日)17:00−2001年1月1日3:00、EBIS303(東京都渋谷区)、入場無料
 学生主催・対象のイベントだったが、肩身の狭い思いをしながら参加した。会場にはステージとテーブル、椅子、そして次のようなブースがあった。「ポシビリティタワー」(オブジェ)、「Change My Self 21」(スドウヨシ美プロデュース)、「XX+Iプリクラ」、「学生団体ブース」「カフェ」「年越しそば」「レコスタ」「各種出会いの掲示板」。カウントダウンを迎えながら出会いを楽しもう、という雰囲気だ。
□20世紀会(17:30-18:10)
 政治・就職・教育の3分野にわたり著名人をゲストに講演と学生参加者との討論会。(不参加)
□オールミスキャンパスコンテンスト(19:30-21:30)
 全国各大学のミスキャンパス21名が一同に会し、日本一のミスキャンパスを決定。さすが、いずれ劣らぬ美女揃い。「ほめごろし」の司会で進行したが、マイクの使い方が悪くて女性の声はほとんど聞こえない。自己アピールやゲームをするのだが、出場者も今一つ意気込みが感じられず、これで彼女達の人となりがどこまでわかるのだろうか。そんな中で奥平弘美(東京女子大学)は自分のスタイルを持つ行動派。私の一押し。審査員は佐田真由美(ViViモデル)、スドウヨシ美(ヘアメイクアーティスト)、ドクター中松(発明家)など。
□舞の供宴(21:30-22:45)
 まず双子三味線姉妹の「まんげきょう」は、着物姿でカンフーを思わせる動きの独創的な踊り。ユニゾンで息ピッタリで、これは拾い物。次はHIPHOPの「アクエリアス」。切れの良い動きで、ファンも多かった。最後は学生らしき「よさこい」。動きが少々雑だが、元気が良かった。そして会場はクラブの如き踊りの渦、にはならなかった。ステージ前で一部が騒いでいるといった趣。ここで私はミスキャンパスの結果発表を待たずに退散した。
□20世紀最後の若者の主張(23:00-23:40)(不参加)
□21世紀ライブ(24:10-)(不参加)

ダンスDEシアター「ONE OF THE MOST BEAUTIFUL THINGS」 (1月1日掲載)
 12月26日(火)、27日(水)いずれも19:00-、21:00-。die pratze(新宿区)、主催:ドーダス・ダーダ
 順序通り作品毎に、思いついたまま感想を記す。特に昨品名は無いので特徴を見出しとする。
 1.二人
 2.群舞:衣裳が普段の練習着風なので、開幕の期待感が薄れる。HIPHOPなら問題無いが。
 3.白ワンピース4人:絵的には綺麗だが、起承で終わってしまった感じ。
 4.二人
 5.コート姿:前半の動きが新鮮。二人がそれぞれ勝手に動いている感じ。もっと関係が見たい。折角あるのだから柱を利用しない手は無い、という事だが、衣裳と振りとしてはあまり効果的ではなかった。
 6.3人、バレエ:ユニゾンなのにダンスのテクニックに差がありすぎる。
 7.一人、白パンツ
 8.黒
 9.二人、パンマイム風ユニゾン:ダンスというよりパフォーマンスか。テクニックとしては単調だが、不思議と飽きずに負ってしまう。今回の中で最も集中出来た。
 10.ワンピース3人、出たり入ったり
 11.勝手に踊っている感じ
 12.二人から一人へ、舞踏風、黒ワンピース:もだえ苦しむ一人。彼女と他のダンサーとの関係が不明。3人出て来る。スローモーション。トップレスの意義が不明。
 13.ピンポン玉:レズっぽい仕草。スローで延々続く。時間の経過と共に見る方にも疲れが出、室内が徐々に暑くなって来たのも合わせ、緩慢な場面展開に、少々退屈感が芽生える。

 全体の半分位の傾向として、「起承転結」の起承で終わってしまっている感じがする。別にストーリー性を持たせる必要は無いが、中途半端な印象。また、一生懸命踊っていても、一人で勝手に動いている、という図になり、あくまでも客席で観客として見てしまい、中々その世界に入り込めない所がある。メンバー紹介が欲しかった。
 メンバーのニックネーム?の命名が面白かったので、もっと“面白い”もの
を予想したが、その意味では期待外れだった。(と言ってもコメディとは思っ
ていなかったが)
 以下、その面白い出演者名。夢乃つづき(都築智子)、カワイマキコ(川相真紀子)、Michiyo1000(山崎美千代)、OY DE YAS(康本雅子)、飛音=Fei Yin(鹿島しょう子)、B.K.ユキ(坂田有妃子)、グルメ・プレタマルポルテ(田丸暦)、レモネード・よこ・ヨーコ(対馬陽子)、ミツバチはっち山&うっかり8兵衛(佐藤美紀)、アインシュタイン.チャコ(浜口彩子)、ニーナ乃野望(井上奈保未/山の手事情社)、クローディア・モンペネグロ(黒田キヨミ)、Tomosa De CoCo(友貞京子)、ハラ=シオン(又はskirt、原キョウコ)(12月27日鑑賞)


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